chapter 01.[Initation]
Yurica met a girl of program
Yurica met a girl of program 1/
0/she says no
暗い部屋の中を、生暖かい風が吹き抜ける。
薄暗い視界。
ただ純粋に、深紅に染まっていく赤。
「………汚い」
既に対象は生命活動を停止している。
月の綺麗な夜。
血に染まった人影は呟く。
「可哀想に」
と。
まるで、誰かに罪を求めるように。
強く、強く自分を否定するように。
その瞳はどこまでも紅く、透き通るようで。
その唇は哀しみを含んだ笑みを浮かべていた。
―――それは月の綺麗な夜のこと。
花開いていく可憐な華。
美しく散る、命の音。
花開いていく可憐な華。
美しく散る、命の音。
* * *
どこまでも続く地平線。
人はその向こうに、何を夢見る?
2200年。
僕らの世界
、地球は荒れ果てていた。
前言撤回、死んでいた。
だって、つまらないだろう。
人間は進化することを止めた。
否、生殖さえも停止した。
世界平和への新たな目標として掲げられた“人類滅亡計画”により、人類は地下で暮らさざるを得なくなった。
そして…
その代償に、不老不死を得た。
人間全体を素粒子レベルでデータ化し、形骸を維持するため原子を均一に維持する薬を投与し続ける。
万能ではないが、人はこれによって古来からの夢を実現させた。
そう――万能では、ないけれど。
なぜなら刺せば普通に死ぬ。
簡単に、殺せてしまう。
…なんて儚いのだろう。
栄えあるものはいつか滅ぶ、
今生きていることさえ万に一つの奇跡。
汚染された地上の下で、僕らは生きていた。
………本当につまらない世界。
死んでしまえ、と思う。
人はその向こうに、何を夢見る?
2200年。
僕らの
前言撤回、死んでいた。
だって、つまらないだろう。
人間は進化することを止めた。
否、生殖さえも停止した。
世界平和への新たな目標として掲げられた“人類滅亡計画”により、人類は地下で暮らさざるを得なくなった。
そして…
その代償に、不老不死を得た。
人間全体を素粒子レベルでデータ化し、形骸を維持するため原子を均一に維持する薬を投与し続ける。
万能ではないが、人はこれによって古来からの夢を実現させた。
そう――万能では、ないけれど。
なぜなら刺せば普通に死ぬ。
簡単に、殺せてしまう。
…なんて儚いのだろう。
栄えあるものはいつか滅ぶ、
今生きていることさえ万に一つの奇跡。
汚染された地上の下で、僕らは生きていた。
………本当につまらない世界。
死んでしまえ、と思う。
* * *
それは、深い深い闇の中。わたしはずっと一人きりで、孤独。
だって誰とも直接話したことなんてない。
そう、ここではネットワークが全て。
滅びてしまったインターネットは、わたしを動かしてくれる。
どこか、知らないところへと。
でも最近、気づいちゃったんだ。
この世界は終わってしまったんだって。
あれからもう、一回もヒトに会ってない。
だからそれは時に残酷で、悲哀に満ちたもの。
慈愛も、あったはずなのに。
悲哀だらけ。
終わってしまった世界。
呟けば哀しくなる言ノ葉。
あぁ、わたしは弱いのだ。
ほんの少しの奇跡でも、折角の繋がりを絶ちたくない。
目の前の闇を睨む。
暗くて、黒くて。
まるでわたしに孤独を教えるよう。
じっと目を凝らす。
光?
なにかな、白い。
死にたがりのわたしは、そっと身体を起こした。
勿論、錯覚なのだけど。
光を掴む。
壊れないように、包み込むように。
抱き締めていたいのだ。
…バグかしら?
どうしてこんなところに。
でもこのバグがあるせいで、空間が歪んでる。
一つ一つの構成要素が、まるで溶けるように抜け落ちていく、刹那のこと。
わたしは、*っていた。
奇しくも、捻れは新たなプログラムを発見したのだ。
今度こそ、ヒトに会えるかな。
そう信じて、そっと手を伸ばす。
見せかけの画面に映し出された文字列を見て、私は呟いた。
「メール……?」
誰に送るというんだろう。
わたしみたいなプログラムが他にも在るというのかな。
さて、どうしたものか。
時に、退屈は人類の敵である。
残念なことにわたしはもうヒトではないけれど。
それはいいとして。
闇は“ ”に飽きしかもたらさない――……
思えば、これが全ての元凶だった。
メールなんて送らなければよかった。
だって………
この時のわたしはあまりにも幼くて、あまりにも弱かった。
この行為が、終焉の
* * *
嘘だろ。
俺は目を疑った。
説明しよう。
世界を構成するのは四都市、かつての大陸の地下に一つずつ。
その一つ、日本という国だった場所の地下に、俺たちの都市“箱舟
”は在る。
他の都市の情報が入ってくることは稀。
何せ、メディア自体が活動していないのだ。
しかし、そんな中でも、都市伝説として世界中に噂される都市があった。
名は“楽園
”、
そして“混沌
”。
その名の通り、楽園と奈落らしい。
なんでも、“楽園”に行けばこの朽ち果てた生活から解放され、永遠の幸せを手に入れられる――
だが過ちを犯せば“楽園”の底にある“混沌”へと堕ちて死ぬこともできないまま惨めに生活する破目になるらしい。
在り来たりな噂だ、事実であるはずがないと思っていた、だが…
その、“混沌”からメールが来たのだ。
…都市伝説には続きがあった。
どちらの都市も今はもう無いという続きが。
つまり、そんな場所からメールが来るはずがないのだ。
ま、面白そうだし見てみるか…
俺は目を疑った。
説明しよう。
世界を構成するのは四都市、かつての大陸の地下に一つずつ。
その一つ、日本という国だった場所の地下に、俺たちの都市“
他の都市の情報が入ってくることは稀。
何せ、メディア自体が活動していないのだ。
しかし、そんな中でも、都市伝説として世界中に噂される都市があった。
名は“
その名の通り、楽園と奈落らしい。
なんでも、“楽園”に行けばこの朽ち果てた生活から解放され、永遠の幸せを手に入れられる――
だが過ちを犯せば“楽園”の底にある“混沌”へと堕ちて死ぬこともできないまま惨めに生活する破目になるらしい。
在り来たりな噂だ、事実であるはずがないと思っていた、だが…
その、“混沌”からメールが来たのだ。
…都市伝説には続きがあった。
どちらの都市も今はもう無いという続きが。
つまり、そんな場所からメールが来るはずがないのだ。
ま、面白そうだし見てみるか…